もともとは「ぼのぼの」(いがらしみきお)を読むつもりで買ひはじめた竹書房の『まんがくらぶ』――通称「まんくら」――てふ月刊誌に掲載されてゐたのが出会ひであった。さう、現在は毎日新聞の4コマもやってゐる森下裕美――このひと、『ジャンプ』と『ガロ』てふ両極端な雑誌でデビューしてゐる――の「ここだけのふたり!!」、通称「ここふた」である。 その後、「ここふた」は、「ぼのぼの」の後を継いで表紙を飾るまでの人気連載となるが、2002年12月号をもって突如休載。単行本が2001年12月号分までしか収録してゐない――第9巻。ちなみに、第1巻は、最初1989年10月にハードカヴァーで出され、91年に廉価版で出し直されてゐる――にも拘らず、残りを未収録のまゝ絶版となってしまったことからも、竹書房となにかあったことが推察されてゐる。 その「ここふた」が6年ぶりに復活を遂げた。掲載誌は、本日発売の『漫画アクション』。現在、「忍者パパ」(山本康人)や「この世界の片隅に」(こうの史代)などが連載中の隔週刊誌である。麗々しく表紙をかざり、巻頭カラーてふ扱ひからも、「ここふた」の人気のほどがうかがへるが、彼女はこの雑誌に、文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞と手塚治虫文化賞短編賞を受賞した話題作「大阪ハムレット」を連載してをり、双葉社としては、森下作品の強力な後継として「ここふた」を据ゑたと考へるのが妥当な線であらう。 しかし、一読一驚。状況が変はってゐる。妻は妊娠中、夫婦は新居を購入して、そこにそれぞれの母たちと同居してゐるのだ――生徒の方は、かつての連載終盤から固定されてゐたが、あひかはらず清宮やチカたち――。そして、なんといふても、かつての愛読者たちが駭くにちがひないのは、これまで詳らかでなかった夫と妻の名前が明らかになったことであらう。「加藤学」と「加藤美奈」。これがふたりの名前だったのである。なにしろタキエさんが吃驚してゐるくらゐだから、われわれの駭かぬわけがない。しかもタキエさんが「早く名前なじむといいね」と云ふてることからもわかるやうに、夫婦自身も固有名に慣れてないのであった。 とまれ、復活万歳である。ノリも変はってゐない――冒頭から「かしまし娘」「ちゃっきり娘」「フラワーショウ」ネタをかましてるし――。今後、やはり隔週の『ヤングアニマル』――「3月のライオン」(羽海野チカ)と「デトロイト・メタル・シティ」(若杉公徳)を愛読中――にくはへ、『アクション』も買ってしまふのであらうか、オレ?
追記。 よく見たら、アクション版のは「ここだけのふたり!」と、ポワン・デクスクラマスィヨンが1本になってゐるではないか。版権の関係か、はたまた、前作とは別ワールドなのか……?? | |