アート系研究者の学際的研究グループ Gradiva [グラディーヴァ]。 今回のテーマは « LES HOMMES PRÉFÈRENT LES BLONDES »: Représentations de la blondeur dans les arts(「紳士は金髪がお好き」:アートの中のブロンド表現)。ラクロの『危険な関係』とか。しかし、ナボコフの『ロリータ』は、原文では「栗色」なのに、映画や本の表紙では、かならず金髪にされるらしいが、ほんまかいな。
★2009.01.08(Jeu)06:28
Junko KAWAKAMI, It's Your World (Kana)
昨年9月のフランス研修引率時に、セルジーのフナックで購入した新刊。かつて紹介したやつが、やうやくまとまったらしい。いづれ日本語訳も出るやうだが、そもそも日本語でネームを書いてるらしく――擬音語の書き文字も日本語のまゝだったり――、フランス語版がオリジナルなのに、右綴じになってゐる。 かわかみじゅんこには少ない――西目丸名義のBLは別だが――、男子主人公モノ。父親の転勤にともなってパリ――サクレ・クール寺院の近くっぽいので、18区の下町ならん――に引っ越した厨房スズキ・ヒロヤ――「鈴木広也」と書くやうだ――くんの悩める日々を描く。なにしろ、初手から「友だちができるだらうか」と心配してゐたのだが、フランス語力――授業はちんぷんかんぷん――の問題と、「文化」の違ひから、案の定孤立してしまふ。女子からのビズにビックラこいたり、みんな H を発音せず「イロヤ」と呼ぶもんだから、じぶんが呼ばれてる気がしないとこぼしたり。 そんな彼に最初から積極的に話しかけ、フランス語の家庭教師まで買って出てくれたのが、同級生のぽっちゃり女子ファティマ Fatima。11人の兄弟をもち、musulmane のやうだ。いっぱうでヒロヤは、初日にあったバンビのやうな別嬪さんのゾエ Zoé に惹かれ、彼女もヒロヤのことを意識してゐるふうをみせる。それぞれに悩みも抱へるふたりの女子のあひだで――隣に住む何でも屋の兄ちゃんたちに「二兎を追ってる」courir deux lièvres à la fois と冷やかされながらも――とまどひつゝ、ヒロヤは成長してゆく(ハズ)。そして、友人たちに、日本式の「初日の出」見物にさそひ、早朝から出張ったものゝ、ご来光は8時過ぎだったてふのは、高緯度地域ならではのオチ。 なほ、ヒロヤとは正反対の積極的・外向的女子高生のお姉ちゃんルミ――Lumi と綴られる。お母さん曰く lumière [リュミエール](光)から名付けたらしい――がゐるのだが、彼女はどんな日常を送ってゐるのか気になる。ちなみに、かわかみじゅんこのインタヴュー記事――写真付き――が Manga News でみられる。いちぶは自らフランス語で返答したさうで。