なんと、フランス、ブラジルに勝ってしまった。前回1次リーグ敗退が、4強である。地元ドイツは、仏、伊、葡のラテン系に囲まれたわけだ。 ところで、Les Bleus(仏チームのこと。ユニホームの色から)の DF リリアン・テュラム (Lilian Thuram, Guadeloupe[グアドループ]出身) は、政府の Haut Conseil à l'Intégration [オ・コンセイユ・ア・ランテグラスィヨン] メンバーを務めてゐる。これは、首相の諮問機関で、他に、サッカー選手からパリの区会議員になった Zaïr Kedadouche [ザイール・ケダドゥーシュ](マグレブ系)や、留学生で渡仏してアカデミー・フランセーズのメンバーにまでなった François Cheng [フランソワ・チェン](中国系)なんかゞゐる。これが、下の陣野さんの本では「同化高等弁務官」を務めてゐるとされてゐるが、これはやはり「統合高等委員会委員」とすべきであらう。たしかに、intégration を「統合・同化」としてゐる辞書もあるが、「統合」と「同化」は異なるものだからである。Grand Robert では intégration は「一体化すること」s'incorporer であり「分離すること」séparation の反対語としてある。いっぱう、「同化」は assimilation の訳にあてるべきで、こちらは「似たものになること」の意だ。 仏政府の移民・外国人政策は「統合」であり、「同化」ではない。「同化」は「統合」によって齎される結果なのであり、究極には目指してゐるとしても、直接の目標ではないのである。 語感は頗る重要なものであるから――殊に学生諸君には――敏感であってほしい。ことばは努(ユメ)おろそかにするべからず。 | |