『小さな王子さま』 岩波の独占翻訳権が切れたせゐで、今後バンバン出るはずの Le Petit Prince 新訳のひとつ。みすずでサン=テクス全集を個人訳した山崎庸一郎先生、満を持しての登場。流石は個人で全部訳した山崎先生、訳注豊富。「星の」を付けなかったのは、岩波に遠慮したからではなく、場所を具体化しすぎないやうにとの主張からの由。でも、原文に忠実に、「王子さまは〜」を悉く「小さな王子さまは〜」式で訳すのは如何なものか?? 訳文は総体にカタめ。これでもヤラカくしたんやろけどね。
元大阪市立大学(仏文)、現奈良女の三野先生による Le Petit Prince 謎解き本。三野先生は、同社から「王子さま」の新訳も出すらしい。ぼくは、1984年、94年と、サン=テグジュペリの「行方不明後」40年目、50年目に、王子さまをネタにした芝居を書いてるけど、去年はついに書けず。でも、94年の作品で展開したサン=テクスにおける「庭」モチーフは、今でもかなりイケてると思ふ(自分では。笑)。王子さまにおいては、もちろん故郷の星と、そして沙漠が「庭」なのだ。 先日、某社から王子さま関係の仕事おオファーがあったけど、納期が来年3月になりますと正直に云ったら、オファー撤回されてしまった……(^-^;)
Trinh T. MINH-HA はヴェトナム出身のアメリカ人映像作家、詩人、大学教授。最初はフランス語で詩を書いてたけど、後に英語でジェンダー論を書く。「ポスコロ・フェミ」などと「分類」したらアカン。彼女本人が、そもそも「同定」「分類」「所属」を拒否して、斯様な論文ともエッセーとも「同定不可能」なものを書いたのだから(もっとも、本書は充分「論文集」で通用しさうだ)。翻訳者は、アメ文学系ジェンダー学者の竹村和子。 さて、マイノリティ論と他者論は容易に接続するが、「容易」な場合には、常に用心すべし。これ、すべてのガクモンにあてはまることやさかい。(^-^;)