土曜から仏文学会。場所は、中央大学理工学部。ちょっと前に犯人が逮捕された、教授刺殺事件の現場(の横の建物)である。10年ぐらゐぶりに、関西支部選出の語学教育委員に選ばれたので、朝から委員会場に参上する。この委員会、2期4年やることになってゐるのは前回の経験からしってゐたが、関西支部から副委員長を出すことになってゐるとはしらなんだ。東大の星埜委員長――澤田さんの後任として、次期幹事長に就任されるので、語学教育委員長は中央大の小野先生に委譲――に指名されて、次期副委員長となる。尤も、副委員長としての職務はほとんど無いさうで。
あってふ間に委員会が終了したので、語学会のシンポにあたまから出席可能となる。おなじく語学教育委員の熊大の市川さん、愛知県大の長沼さんてふ語学屋とともに会場へ。会場では川北さんに会ふ。
シンポは、認知言語学と主体の問題。パネリストは、山口の武本さんと東北の阿部さんに、関大英文の鍋島弘治朗さん。鍋島さんは、フランスの言語哲学者で、ことばの《意味》は文脈によって決まるてふ「文脈主義者」のひとりレカナティ François Récanati と共同研究もしてるらしく、レカナティと認知言語学の比較をなさった。
シンポ後は、まだ未完成の原稿を、受付横の椅子に坐わっていぢってゐると、いきなりツルちゃんに見つかる。30分猶予をもらって、仕事続行してゐると、こんなとこでサボってちゃダメぢゃないですかーとミドリに覗きこまれる。すんまへん、他社の仕事で。
ミドリが去ったあと、ツルちゃんと打ち合はせ。細部を詰める。あとは兎に角原稿くださいてふハナシに。ハイ、重々承知してをります。
午後は、仏文学会の個別研究発表会。語学の部屋では、連続発表中の酒井くんのトートロジーについての文脈主義的主張に、「根元的規約主義」が出てきてゐた。到頭、彼もヴィトゲンシュタインに逢着である。もちろんレカナティも出てきてゐる。《意味》が文脈によってしか決定できないてふ主張には100%賛成だが、そこに「社会性」、すなはち「相互行為」が導入されないかぎり、「私的言語」の問題はのりこえられないであらう。
第2部とのあひだに、専修大の根岸さんのために、日本演劇学会の入会届にサイン。6末に市大で大会があり、そこで司会を頼まれたのだが、まだ学会員ではなかったのださうで。
第2部では、トモナリの発表を聞く。つづく発表はジロドゥについて。根岸さんや甲南の中村さんもゐたりして、半分は演劇関係のひとか。フロアがさびしかったのが残念。
その部屋の発表は2つだけだったので、3つ目の時間は、賛助展示の部屋へ移動。朝日さんと産休明けのミワに、教科書たのみますよと云はれる。ハイ、申し訳ござんせん。三修社ブースでは、その名のとほり奈良生まれの奈都さんに異文化関係の本を薦められ、購入。三修社といへばドイツ語のイメージがあるが、じつは小生、4年ほどまへに、こゝの編集さんから、当時、版権切れで和訳乱立の『星の王子さま』の企画を打診されたことがある。かつて『ふらんす』に連載してゐた「フランス語質問箱」を、毎回あの手この手のパスティーシュでやってゐたので、それ式の翻訳と文法解説した感じの本を、てふ依頼であったが、小生、忙しいのでできあがりは遅くなりますよ、てふ返事をしたところ、旬を逃してはならじと、社内の会議でポツになったらしい。まあ、世の中万事縁なので、縁がなかったてふわけである。
その後、マサコが来てたので、彼女をつれて懇親会へ。名刺をつくってきたんですよーてふ彼女のために、ワッキー、青木さん、相野さんらを紹介。彼女は、さらに、発表を聞いておもろかったてふ神戸大の院生にも声をかけてゐた。
事務局のRちゃんとMちゃんも来てゐたが、なんとMちゃんのはうは、この8月で退職の由。お子さんがほしいさうな。てふわけで、2次会は、Mちゃん慰労会てふことで、飯田橋のRちゃんお勧めの小洒落た呑み屋。Mちゃんのご亭主Tさん――17世紀の芝居がご専門だ――にくはへ、塚原前幹事長、澤田幹事長、星埜次期幹事長と歴代三幹事長揃ひ踏みである。その他は、Rちゃん、マサコ、相野さんら。
宴がハネたあと、なぜかJR飯田橋駅を写メしてゐるマサコを見た塚原さんが、写真を撮ってあげるよと駅を背景にマサコの写真を撮ってあげてゐたが、そのときの彼女は塚原さんを identifier してなかったらしい。その後、彼女をホテルまでRちゃんと送る。些か酩酊先生のRちゃん、マサコが良い子なのでなんとかせんとアカンといふのだが、なにをどうしようといふのかしらん?