地下のカーヴに降りてみれば、何と、階段に迄人の溢れたり。然り乍ら、そこは A 孃、そんなことはものともせず、掻き分け掻き分け、バンドの前に出づ。場所ないねと云ひても、C'est pas grave. (セ・パ・グラーヴ だいじょぶ)と輕(かろ)く答ふ。
本日は雨のせゐか、些か肌寒き日なれど、こゝは熱氣ムンムン。にも拘らず、コート着てる人とか、カーディガン羽織りたる人とか、革ジャケット着て踊りたるをぢさんもあり。勿論、汗腺の特別少ないてふ譯には非ざるゆゑ、一曲踊り終はりたる後は、玉の如き汗をだらだら流せり。何故脱がぬ。解せぬ心情なり。
本日の生バンドは Charles Prévost Washboard Group にて、ウォッシュボード即ち金製の洗濯板を鐵の爪でシャラシャラ掻き鳴らすリーダーの率ゐたる 5 人編成なり。
1 囘 30 分程のセッションを一晩で 4 度こなす。途中、女性ヴォーカルのゲストや、トランペッターのゲスト、最後は偶々來たサックス奏者の友人がヴォーカルで飛び入り。が、最後の曲で、ピアノにソロを取らせる暇を作らず歌が終はりてしまひしため、サックス奏者は大いに不機嫌になり、些か險惡なる雰圍氣のまゝ、最後の挨拶もなく有耶無耶のウチに最終の囘終了。午前 3 時半。我々は歸途につけるが、大半のお客さん達は、まだまだこの後も 4 時迄踊り續ける樣子なりき。
★2000/07/10
ネット上のニュースを眺むるに、アメリカの人氣ポップ歌手、Britney Spears (ブリトニー・スピアーズ) の、結婚決定てふ報道あり。相手は公認の戀人、N'Sync なるドンバの Justin Timberlake (ジャスチン・ティンバーレイク)にて、彼女 18、彼氏は 19 なり。婚約との噂に英皇太子と結婚したいなどてふ發言もせる彼女なるが、またしても「ヤンマヽ」か?
ポップス、アニメ、ファッション等、今やアメリカ文化にどっぷり浸れる(何故か、ベースボールだけは流行らぬ)こゝおフランスの女の子達にもブリトニー大人氣にて、若者向け藝能雜誌(昔年の『明星』『平凡』の如きもの)には、このブリトニーと、テレビ・シリーズ Buffy (ホラー系ヤング・ドラマ)のヒロインにて人氣を博せるこれ亦アメリカの Sarah Michelle Gellar (サラ=ミシェル・ゲラー)の顏、毎月缺けたることなし。
流行りモン (Le Genre branché en tous genres)
スポーツ野郎 (Le Genre sportif)
ブリトニー・ファン (La Fan de Britney Spears)。「ウッドストック」とは勿論 1969 年 8 月 16 日、 30 萬人を蝟集せしめたるロック音楽祭
貧乏ちゃん (La Pauvresse)
ラッパー (Le Genre rappeur, qui paye pour sponsoriser de marques)
アベコベちゃん (La Contradicroire)
ブリトニーの人氣の凄さは、坊主頭と耳ピアスこそ些かア・ラ・モードなるが(本人曰く、坊主にせるは單なる實用性の問題なり)、日本がア・ラ・モードになる以前より尺八の音を愛で、太宰と安吾を愛讀、北齋の「赤富士」をパソコンの壁紙とし、ポップスはゲンズブールのみ(これは F 君の言)てふ、仙人の氣風を漂はす V 君迄もがその名を知りたることによりても明らかなり(但し、名前のみ。未だ 18 歳だと教へてやりたれば、頗る驚きぬ)。
些か遲き話題なるが、雜誌 Le Nouvel Observateur (ル・ヌーヴェル・オプセルヴァトゥール)の臨時増刊號 Les Nouveaux Ados -- Ils le sont plus tôt, ils le restent plus tard -- (レ・ヌーヴォー・ザド 新しい若者達――早くさうなり、長い間さうでゐる――)の最初に、昨今の若者裝束の戲畫的に描かれたるモノありけるが、そこにも「ブリトニー・ファン」てふものあり。ナカナカ面白ければ、無斷轉載は出來ぬゆゑ、拙畫にて紹介。
この特集は記事も面白く、若者と携帶電話とか、若者言葉、若者の讀書傾向、更には、日本の「オタク」について迄載りたり。
F3 では、7/1 日スタート、一ト月掛けてフランスを巡る自轉車競技、かの Tour de France (トゥール・ド・フランス)2000 の中繼流せり。本日は胸突き八丁の難所、les Pylénée (ピレネー山脈)越えの日なり。あやにくの雨に濡れたる田畑裡の田舎道を、殆んど一絲亂れぬ状態にて、自轉車の群の進みゆきぬ。日本でも CS にては中繼せるらしが、これ、フランスの田舎を生で見られる數少ない機會ならん。