Rue du Faubourg Saint Aontoine (フォーブール・サン・タントワーヌ通り)から Place de la Nation (ナスィオン廣場)を見る
1 本目は À fond de cale (ア・フォン・ド・カール どん船倉(ぞこ))(作/演出・L. Ritter L. リテール & A. Brulant A. ブリュラン)。キャバレー・ダンサーのフランス女性と、圖書館司書のアメリカ女性が、それぞれの事情で「文無し」(être à fond de cale)になり、船で密航 (voyage à fond de cale) を企て、潛り込んだ船倉で鉢合はせ。最初は反發し合ふも、次第に打ち解けあひ、友情が生まれる……てふ二人芝居。副題に Fantaisie musicale (ファンテズィー・ミュズィカール)とある如く、歌ありダンスあり。日本にもありさうな芝居なるが、役者は下手には非ざれど、上手いてふ譯にも非ず。ストーリーはハート・ウォーミングなれど平凡だし。尚、フランス女性は作者の一人リテールが演ぜり。お客の入りは 30 人程。
2 本目は再演なるが、本日が樂日の Le Gentleman vagabond (ル・ジェントルマン・ヴァガボン さすらひのジェントルマン)(作・Alexis Sellam アレクスィ・セラン & André Roger アンドレ・ロジェ/演出・Alexis Sellam)は、セラン本人の一人芝居。流石再演に掛かりたるだけありて、50 臺後半の圓熟を見せ付けるが如き芝居にて、内容は、一人の老ストリート藝人の辿りたる人生の囘想を、一人で演ずるてふもの。合ひ間に、タップあり、コクトーやブレルの引用あり。成る程ヴェテランなり。やゝ派手目の芝居は、ストーリーに合はせたるか。芝居が終はったと思ったら、嘘を吐(つ)くことについての一席があり、これが又芝居。それが終はったと思ったら、教會で音樂を聽いた途端、神の偉大さに打たれた、てふ芝居。樂日スペシャルなるか? 薔薇の花一輪づつ持てる身内客で滿杯。