村上かつら『淀川ベルトコンベア・ガール』1(小学館 ビッグコミックス)

By 黒猫亭主人, 2010/11/28

淀川ベルトコンベア・ガール 1 (ビッグコミックス)小生贔屓の村上かつら。『ラッキー』から2年ぶりの新作は、短篇「純粋あげ工場」――『CUE』3に収録――のリメイク、てふかアナザ・ヴァージョンである。

主人公の瀬川かよは、福井から大阪に出てきて、淀川ぞひにあるはせ食品の、おあげさんのベルトコンベア・ラインで働くおかっぱの素朴な女の子。同僚はをっちゃん、をばちゃんばかり、住んでるところは会社の女子寮てふ環境ですごす彼女は、16歳の誕生日、阪急電車の鉄橋のしたで、歳がちかくて、コヒバナや買ひもんを共にできるやうな「ともだちが、ほしい」と願をかける。すると、その日、17歳の黒崎那子(なこ)が、あたらしいパート従業員として配属された。願ひがかなったと喜ぶかよちゃんは、自称フリーターの彼女とともだちにならうとする。そんなをり、福井の中学で手芸部仲間のチカちゃんが大阪にゆくからといはれ、喜んで寮に泊めてあげるも、彼女は、男に会ひにきただけで、たんなる宿扱ひされ傷つくかよちゃん。だが、チカちゃんも……。

そんなかよちゃんを、那子のはうはどうみてゐたのか。1巻の最後は、那子の視点で語られてゐる。

かよちゃんの「さみしさ」がしみる一品。しかし、那子も良い子だし、「助言を与へる賢者」としてのスミ江さんもゐるし、かよちゃんの未来はすでに安泰にも思へるのだが、そろそろ出るはずの2巻が待ちどほしい。

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