映画にも舞台にもなった『鴨川ホルモー』の余滴ともいふべき六つのハナシを蒐めた『ホルモー六景』。京都産業大学玄武組の女傑ふたりの恋と友情バナシ、楠木ふみのバイト話――語り手は、バイト仲間の高校生男子――、梶井基次郎のラヴ・レター、芦屋の元カノとかつて存在した「中央」のチーム「同志社大学黄竜陣」復活ストーリー、東京にもホルモーがあったのかバナシ、そして織田信長の長持に生ずる奇譚――『鹿男あをによし』とのリンクあり――と、帯にもあるとほり、全篇「恋」にまつはるオハナシが綴られる。勿論を『鴨川ホルモー』読んで置いた方がよからう。
ところで、プロローグには3回生となった安倍と高村の会話が描かれてゐるのだが、そこに同志社黄竜陣のウハサも現はれない。ハテ、復活しなかったのであらうか? 復活して、オニがどっかから湧いてきたのに、見つけそこなったとか。
そして、「柏原大鍋・小鍋」の名は、じっさいに本能寺の戦没者一覧立札に記されてゐるさうだ。しかし、食事もひとにたかるほどの金缺なのに、自動車学校にどうやってお金をはらへたのかしらん??