終はりました、20回目の野外テント。550弱のご来場、まことにありがたうござんす。しかし、誰が来たのかしらん?? 半券を見ねば……。
でも、テントはまだ建ってゐる。今晩から態変さんの本番なのだ。こちらも是非。
そして、テントの大バラシは12日の朝8時半開始。お手伝ひさん大募集中だ。
それにしてもテント建てるたびに思ふのは、現在研究テーマのひとつとなってゐる「劇場てふトポス」のことである。もちろん我々浪花グランドロマンメンバーのみでは建てられないテント、今回も、CQ一派をはじめ、奥平くんやカオスっ子たちや態変さんたちやらのお手伝ひのもとに完成を見たわけだが、それ以外にもあまたのひとびとの助力を得てゐる。
のみならず、ナンダさんとココロくんがカンテキもってきて魚焼いたり、慎さんが仕込んだりカレーつくってくれたり、村井くんが受付にきてくれたり、毎晩終演後は宴会が2時までつづいたりと、おほくのひとびとにとっていっしゅの fête となってゐるのではないかてふことである。今回のチラシの裏に、代表として以下のやうなことばを記した。
かつてJ.J.ルソーは「広場の中央に花でかざられた一本の杭をたて、人をあつめよ、されば祭がはじまる」と記した。1990年8月、東京・大阪2都市公演で旗揚げした浪花グランドロマンは今年で20周年、翌1991年7月、生國魂神社境内に最初の「杭」をたてて以来、毎年つづけてきた野外テント興行も、今回で20年連続20回目となる。この間、公演地は、大阪城公園、扇町公園、築港赤レンガ倉庫前を遍歴した。だが、いずこにたどりつこうとも、われわれは、そこに広場を見いだし、杭をたてつづけるであろう。願わくは、ともに祭に集われんことを。
ルソーの出典は『ダランベールへの手紙』Lettre à d’Alembert (1758) であるが――ちなみに、このぶぶんを引用してゐるロマン・ロランの『民衆の演劇』Théâtre du peuple (1903) は、大杉栄が『民衆藝術論』てふ名前で飜訳し、1917年に出版してゐる――、一本の杭を立てれば、ひとびとが集ひ、祭がはじまるのだ。もちろん、主催してゐるわれわれにとっては、仮設劇場は、たんなる祝祭空間ではなく、日常空間でもあるのだが、そこにテントを建てつづけることにより、いまは休止中の演劇人――構造的に古いひとびとがおほくなるわけだが――が、「芝居」の一端にふれにあつまってくるわけである。仮設劇場とは、まさに「演劇人ホイホイ」であった――ことしは、やはり生國魂さんの境内で野外劇をやったりしてゐた戎屋劇場の游さんが来場し、芝居に復帰する旨を宣言していったぞ――。
この時期、浪花グランドロマンがテント建ててるなあてふ認識がひろまってゐるわけであり、テントてふトポスは、そこにありつづけること、すなはち、毎年建てつづけることにもおほきな役割があるのだ。しかし、われわれはいつまでテントを建てつづけることができるのであらうか……?