《意味》の生まれる場所
――言語理解システムの探究――
第2回
0. はじめに――《コミュニケーション》とは(続き)
前回の問にたいする皆さん方のご回答は、おおむね次のようなものでした。
1)コミュニケーションは成功
理由:長年連れ添った夫婦間では、このような応答が日常茶飯であり、それで充分だから。
2)コミュニケーションは不成功
理由:言外の背景知識などを捨象して「会話の文」のみで考えるならば、誤解が生じているので。
3)成功・不成功は、これだけでは判らない
理由:頗る沢山の可能性が考えられるため、「この会話のみ」では判断できない。
おおむね、「成功」とされるご意見が多かったように思いますが、それも「コミュニケーションを○○とするならば」という条件が付されているか、暗黙裡に「コミュニケーション」に対する定義付けを行なっていらっしゃるうえでの「成功」とお考えの方が多いのではないでしょうか。
というわけで、私の「解答」ですが、これは「成功している」です。そしてそれは、「この会話文のみから判断可能」でもあります。では、何故そう云い得るのでしょう。これは勿論「コミュニケーション」とは何かという問題です。そこで次に、「コミュニケーションとは何か」について考えてみることにします。
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