作品 | 監督 | 出演 | コメント |
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À nous la liberté' (自由を我等に) 1931(佛) |
René CLAIR | Raymond CORDY, Henri MARCHAND |
脱走を企てるふたりの囚人。だが、アクシデント発生で、一人だけが脱出、その後、とんとん拍子に人生を進めた彼は、逐に工場の社長にまでなる。と、そこへ、嘗ての相棒が現れ……。 ストーリーは單純にして明快。ホロリとさせるワザも手堅い。世界大恐慌後の1930年代の暗さは、集團主義を揶揄する監獄の工房と工場の流れ作業のシーンとなって現れてゐるが、これは後に、チャップリンの『モダン・タイムス』の流れ作業のシーンに影響を与へたらしい。 ちなみに小生、ルネ・クレールの作品は、『巴里祭』(Le Quatorze Juillet)、『巴里の屋根の下』(Sous les toits de Paris)、戰後の『リラの門』(La Porte des lillas)も贔屓。 |
Fanfan la tulipe (花咲ける騎士道) 1954(佛) |
Christien-JAQUE | Gerard PHILIPE, Gina LOLLOBRIGIDA |
時はルイ15世治下の18世紀。田舎のスケコマシ、ファンファン(「坊々[ボンボン]」てな意味か)は、手を付けた女の子の父親から、娘とやっちゃった責任をとって婿になれと迫られてゐたが、そのとき、見かけぬナイスバディの女の子が、彼の手相を見て「將來、國王の娘と結婚する」と託宣。それを聞いたファンファン、俄に逃亡して、偶々廣場に來てゐた國王兵士の募集隊に參加、難を逃れる。ところが、占ひの女の子は、實はその徴兵隊の隊長の娘で、まんまと作戰に引っ掛かったわけであった。かくして成った兵隊の世界は、嫌みな古參兵や、いい加減な連隊長、無闇に子澤山な仲間などとの日々。嫌氣がさして逃亡を試みたこともあったが、「國王の娘」との結婚を夢見て、兵隊を續ける。軈[やが]て、スケベなルイ15世に拐かされた女の子を救出するために、城に忍び込んで大活躍。それが思はぬ結果を産むことに……。 これ亦、痛快娯樂大活劇。夭折の美男子ジェラール・フィリップの魅力全開の一品なり。近年、ヴァンサン・ペレーズとペネロペ・クルスでリメイク版が作成された。 |
The Love Bug (ラブ・バッグ) 1968(米) |
Robert STEVENSON | Dean JONES, Michele LEE, Buddy HACKETT |
榮光は既に過去のものとなり、落ち込んでゐたレーサーのジムは、ソーンダイクといふ男の外車輸入店で一臺の中古フォルクス・ワーゲンと出會ひ、そのクルマを褒めるが、實はそのクルマは自ら意志を持って動ける不思議なクルマであった。そのワーゲンは、ジムを慕って、ソーンダイクのもとを脱走、ジムのものとなり、ジムの相棒である現代彫刻家(?)テネシーによって「ハービー」(Herbie)と名付けられる(フランス語版では Choupette 髪の毛の房・リボン)。ジムはハービーに乘って、連戰連勝を重ねるも、ソーンダイクの奸計に嵌って一敗地にまみれ……。 「メアリー・ポピンズ」で大ヒットのスティーヴンソン監督によるレース・シーン滿載のディズニー映畫。小生の實家では、このワーゲン・ビートルのドイツ本國最終製産車の20年モノがいまだに現役だったりするくらゐのビートル・マニアであった。アメリカでも人氣はなかなか高く、續編も2本、テレビ版も作られてゐるさうな。 |
Alice in den Sta¨dten (都会のアリス) 1973(獨) |
Wim WENDERS | Rudiger VOGLER, Yella ROTTLANDER |
アメリカでの取材に行き詰まったフィリップは、空港で出會ったリザという女性に彼女の娘を預けられたが、ひょんなことからリザと合流できなくなってしまふ。困ったフィリップは、取り敢へずそのアリスといふ娘と、親戚を訪ねてドイツ各地をクルマで彷徨する羽目に……。 ヴェンダースのロード・ムービー3部作の筆頭。構造的には、「女の子を觸媒として癒される男」てふありがちなものだが、流石は後に「ベル天」を撮るヴェンダースと云ったところか。 |
ルパンIII世 カリオストロの城 1979(日) |
宮崎 駿 | 山田康夫、島本須美、石田太郎、納谷悟朗 |
ひょんな事からカリオストロ公國のお姫樣クラリスと再會したルパンは、彼女と結婚し先祖の祕匿した寶物の入手をねらふ伯爵の企みを粉碎すべく大活躍。 ご存じ、宮崎アニメを世に知らしめた一作。宮崎の「アニメはリアリズムではない」といふ主張に溢れる點も勿論だが、当時、世のファンは皆、クラリスにイカれた。お陰で島本須美も人氣聲優に。小生はイカれなかったけど。錢形警部率ゐる「埼玉縣警」の團體さんも好演。 |
La Pirate (ラ・ピラート) 1981(佛) |
Jeacques DOILLON | Jane BIRKIN, Maruschka DETMERS, Phillipe LEOTARD, Laure MARSAC, Andrew BIRKIN |
キャロルは、12歳の女の子(ロール・マルサックが好演。その後は、脇役として活躍。吸血鬼ものでスッポンポンにも)と共に、アルマをその夫の元から奪ふ。アルマの夫はナンバー5と呼ばれる探偵と共にアルマを追ふ。それぞれが缺如感を抱へる5人の爭奪戰の行方は……。 15歳主演の『15歳の少女』『少年とピストル』や、4歳主演の『ポネット』を撮る前のジャック・ドワイヨンが、當時の伴侶であるジェーン・バーキン――ふたりの間に生まれたのが、デルモ兼女優のルー・ドワイヨン――を主演に撮った「大人映畫」。優れて「演劇的」な映畫で、小生には忘れがたい。タイトルは勿論「海賊」てふ意味。 |
El Sur (エル・スール) 1983(西) |
Victor ERICE | Iciar BOLLAN, Sonsoles ARANGUREN, Omero ANTONUTTI |
父親のゐなくなった朝。エストレリャの囘想が始まる。 超寡作のヴィクトル・エリセが『ミツバチのささやき』から10年かけて撮った作品。「ミツバチ」も良いが、小生、こっちの方が贔屓。女の子を惹き付ける「他界の異人」は、「ミツバチ」で脱走兵といふ「外部」であったが、こゝでは父親といふ「内部」である(まあ、ミツバチでは母親が結構謎だったけど)。そして、共に過ごしながらも最後まで知り得なかった父親をきっかけに、15歳のエストレリャは、文字通り「探究の旅」に出るのであった。 |
夢見るように眠りたい 1986(日) |
林 海象 | 佐野史郎、佳村 萌、深水藤子 |
暇をカコつ探偵・魚塚仁(ウォツカ・ジン)のもとに仕事の依頼が。誘拐された娘を捜して欲しいといふのだ。調査を開始した魚塚の前に、次々と現れる謎。そして依頼は、製作中止になってしまった幻の映畫『永遠の謎』を完成させて欲しいといふものに……。 「状況劇場」退團後の佐野史郎を、少しだけ世間に知らしめた作品(勿論「冬彦さん」をやるのはずっと後)。白黒、字幕、一部トーキー、音樂も擔當のあがた森魚演ずる地球ゴマ賣りは「M・パテー商會」(これは1910年代に無聲映畫を澤山作った會社。フランスのパテー社といふ映畫フイルム會社の名前をパクってゐる)と、マニアックに走りたふしてゐる。林海象は、これでメジャー入りするが、その後の作品はイマイチ。なほ、ヒロインの佳村萌は愛川欽也の娘。小生愛聽のラジオ「金曜パックイン・ミュージック」にゲストで來て、オカリナ吹いてたのは昔のハナシ。 |
尼羅河女兒[Daughter of the Nile] (ナイルの娘) 1987(臺) |
侯 孝賢 | 楊林、高捷、楊帆、辛樹芬、游安順、李天祿 | アジア映畫ブームの先驅けとなった侯孝賢(ホウ・シャオシェン)の9作目。臺北を舞臺に、無軌道に走る青年達を、妹の視點で語る。侯孝賢では、『風櫃の少年』『戀戀風塵』も良いが、当時のアイドル歌手を主役に据ゑながらも、凝った手法で「都市」を描いた『ナイルの娘』を敢へて推す。例へば、いきなり主人公の斜め向きバストショットで始まるとか。「ナイルの娘」とはヒロインの曉陽が讀みふける漫畫だが、これが細木千栄子の『王家の紋章』の海賊版なのは有名なハナシ。 |
櫻の園 1990(日) |
中原 俊 | 中島ひろ子、白島靖代 | 吉田秋生の漫畫が原作。チェホフの『櫻の園』を上演しようとしてゐる女子校演劇部を舞臺に、女の子たちの搖れ動く樣々の想ひをすっと掬ひ上げる。後に三谷幸喜脚本(東京サンシャインボーイズ)の『12人の優しい日本人』などを撮る中原俊の感性と、劇作家にして脚本家じんのひろあき(マントルプリン・シアター)の臺本が見事にマッチした佳品。 |
三月のライオン 1991(日) |
矢崎仁司 | 趙 方豪、由良宣子、内藤剛志 |
アイスクーラーをカバン代はりに出かけ、男と一夜を過ごして日々の糧を得る女の子は、記憶喪失の兄をの面倒をみてゐる。兄への想ひは、禁忌を突き拔け、兄の退院後は、戀人と僞って共に暮らすやうになり……。 絶贊者の多い名作。フォルクローレ「太陽の乙女」のBGMも切ない。兄役の趙方豪[ちょう・ばんほう](仁王門大五郎率ゐた関西の劇団「満開座」の役者。後に「渚のシンドバッド」(岡田義徳、浜崎あゆみら主演)や「エコエコアザラク」などの映画にも出演するが、1997年、41歳にて死去)の「病者ぶり」がイヽ。 |
dernière mise à jour: 2000/06/01