贔屓の漫畫家・作品

名前 贔屓作品 コメント
漫畫家
高橋亮子 『つらいぜ!ボクちゃん』『坂道のぼれ!』『迷子の領分』など あゝ、このsensibilitéよ。高橋亮子は小生の青春でした。初期のタイトルにあった「!」がなくなると同時に、諸々の障碍を乗り越えてまっすぐ目標をめざしてゐた主人公たちが、しだいにさうはゆかなくなってゆくのがなんとも云へまへん。結局、高橋亮子は、思春期の葛藤が生ずる前の小学生を描くやうになり、その後、主婦コミックスに移る。
ユズキカズ 『枇杷の樹の下で』『水街』『マハラジャ日和』など 女の子と晝下がりと鬱蒼と茂った庭園と流れる水と。小生の理想クですな。『天幕の街』は絶版で手に這入らないのが悲しい。
逆柱いみり 『象魚』『馬馬虎虎』『ケキャール社顛末記』『ねこカッパ』『赤タイツ男』など 舊名・望月勝広。「九龍城」風の路地と商店街と惡夢的なgadgetの展覽會。舞臺美術に使ひたいものです。新生『ガロ』に連載中の作品は、インターネットでダウンロードできるさうな。けど、描き直しも多いかも。
古屋兎丸 『Palepoli』『ショート・カッツ』『プラスチックガールズ』『π』など 『ガロ』出ですが、段々メジャーに? 技巧に支へられたパロディ魂てふのには魂が震へました。一番笑ったのは、林靜一の「赤色エレジー」のネタ。でも、本人は、過去には拘らずどんどん變貌してゆくのを是としてゐるらしい。到頭、週刊連載も!
諸星大二郎 『暗黒神話』『孔子暗黒傳』『西遊妖猿傳』『妖怪ハンターシリーズ』『諸怪志異シリーズ』など 嘗ては「暗黒神話ごっこ」なんかもやったもんです。「不安の立像」を抑へておくのは基本ですが、小生は五行先生モノの續きが讀みたいですな。(現在、不定期連載中で、第3巻まで出てます)
あさりよしとお 『宇宙家族カールビンソン』『ワッハマン』『まんがサイエンス』『細腕三畳紀』など 落語ネタと特撮ネタが多いですな(「エヴァ」の使徒のデザインもやってますね)。「おとーさん」と「ワッハマン」のボケぶりは共通ですが、小生の琴線に觸れまくりです。
大島弓子 『あまのかぐやま』『綿の國星』『ロスト・ハウス』『いちご物語』など 如何にも分析欲をそゝる作品が多いのですが、小生は、タマシヒの恢復劑として實用に供してをります。ビタビタの少女漫畫も好き。
萩尾望都 『トーマの心臟』『訪問者』『とってもしあわせモトちゃん』など 「僕は半年の間ずっと考え續けてきた、僕の生と死と、それから一人の友人について……」。ネームのうまさは天下一品。「トーマの心臟」や「ポーの一族」も一種「當然知っておくべきモノ」ですが、小生が涙するのは「訪問者」のラストです。
高野文子 『絶對安全剃刀』『おともだち』『棒がいっぽん』『黄色い本』など 發表當初は吉本隆明が絶贊したのだったか、些と失念いたしましたが、少しく話題になったと記憶してをります。どんどん繪が上手くなりまして、現在の如き作風へと進化を遂げられたわけですが、小生的には「おともだち」式の「なつかしテイスト」に凝り固まった作品も好きです。
佐々木倫子 『動物のお醫者さん』『ペパミント・スパイ』『おたんこナース』『Heaven !』など この方のキャラには、ぼーっとした男の子とかおっちょこちょいの女の子とかゞ多いのですが、それが映える作りになってますな。
鈴木翁二 『透明通信』など 當然、「少年王者館」(名古屋の劇團。鈴木翁二が美術をやったこともある)好きの人には堪らない作風で、稻垣足穗フリークにも少しは訴へるところがあるやも知れませんが、小生も結構好きです、この世界。途中から「S.O.」てふ、より無機質な署名に變はりましたが、韜晦癖は止まるところを知らぬ風。
吉田戦車 『鋼の人』『一生懸命機械』『傳染るんです』など 「鋼の人」はユズキカズ要素が見られますが(あとがき參照)、基本的に吉田戰車の世界は、ウェットな部分が良いですな、小生には。
つげ義春 『ゲンセンカン主人』『無能の人』など まあ、「一度は讀むべき」教養書ですから。しかし、「ポケモン」にまで影響を與へてゐるとは、何と偉大な……。
大橋ツヨシ 『サラリーマンのメロディ』『びいだまくん』など 連載開始から、ギャグの間に嵌りました。文春漫畫賞なんて取ったとこみると、萬人ウケなんでせうかね。
森下裕美 『ここだけのふたり』『少年アシベ』など 「アシベ」「ここふた」以降は概ねカヴァー。この人は、ギャグのツボもさることながら、繪柄も良いです。旦那の山科けいすけの作風も好きなんですが、共通するとこありますかね。
川原 泉 『笑う大天使(ミカエル)』『美貌の果実』『メイプル戦記』など この人も、コアなファンが多さうです。ネームが大量なのとぼおっとしたヒロイン・ヒーローたちが特徴ですが、文軆の手觸りが一番のウリでせう。そんな川原作品でも、初期のはやっぱし普通の少女漫畫風なのですな。
町田ひらく 『Alice brand』『green-out』など 成人コミックスです。ロリコンものです。この人は『green-out』の表紙に惹かれて買ったのですが(買ってから成人コミックスと氣が付いた)、その作家性の強さと描線がツボに嵌りました(ちょっと、山田章博風)。と思ったら、やっぱし町田ファンは多いやうです。サブカル界でバカウケなのか?
黒田硫黄 『大日本天狗黨繪詞』『大王』『茄子』など 筆ペンで描いたやうな描線です。映像的です。味があります。ファンも多さう? と思ったら、『ユリイカ』で特集まで。
よしながふみ 『1限めはやる氣の民法』『月とサンダル』『西洋骨董洋菓子店』など 本屋で買って正解。その後すぐTVドラマ化されて、一部ぢゃ有名に。BL(=Boy's Love)ですな。線の少ない繪ながら、表情は上手い。ギャグは爆笑。
羽海野チカ 『はちみつとクローバー』など 本屋で買って正解。色んな人の渦巻く想ひを、アホらしいギャグで包む。『コミック・キュー』のドラえもんアイテム特集に載った「アンキパン」ネタも泣けます。うゝ。
かわかみじゅんこ 『ワレワレハ』『ネオンテトラ』『銀河ガールパンダボーイ』『パリパリ伝説』『いたいけざかり』(西目丸)など やおい系同人誌時代のペンネームは「西 目丸」。本名は「川上純子」。2004年からパリへ移住、その生活などを描いた4コマ漫畫『パリパリ伝説』に惹かれて、ストーリーものも讀んだら、これが傑作。思春期の危ふいマンタリテを描くが、そのモノガタリを支へる畫風も立派。女の子の眼の大きさが決め手かも。でも『パリパリ伝説』の方は、何故かひさうちみちおテイスト。因みに、女優の柴咲コウの藝名は、「GOLDEN DELICIOUS APPLE SHERBET」(『少女ケニア』絶版)の《柴崎紅》から取ったさうな。
村上かつら 「はるの/よるの/ようだ」「天使の噛み傷」「いごこちのいい場所」「99夏あたし15歳」『サユリ1号』「純粋あげ工場」など 1997年スピリッツ賞デビューなので、もう中堅。なのに作品が少ないのは、文藝路線だからか。ado たちの纖細さを描き續ける。繪柄が隨分變化してゐる人。同志社大學出身の女性らしいが、詳細不明。個人的には大橋サンの行方が氣になる『サユリ1号』のT大學は、同志社京田辺キャンパスがモデルとの噂。『CUE』に出てくる小劇場演劇は、一寸リアリティがないが。と思ってたら、最終巻のあとがきで、劇團周邊にゐたことが判明。ハッ、まさか「キュー」って、同志社の演劇集団Qから?!
作品名 作者 コメント
作品
『究極超人あ〜る』 ゆうきまさみ 「あ〜る」と「鳥坂さん」にとゞめをさす感もありますが、サブ・キャラも立ってます。何しろ、「あ〜る」ネタで今でも盛り上がれるのですから、學生時代のシンボルですな。
『ぼくらは青年探偵團』 まつざきあけみ この人は『リリカ』(サンリオ)でずいぶん讀みましたが、やっぱしギャグのフリが好き。この作品は、殊に、なつかしネタのオンパレードで、「小林くん」と「どけち探偵」の同性愛ネタなぞ(連載誌は『JUNE』)、霞んでしまふくらゐです
『はいからさんが通る』 大和和紀 後にアニメに(寶塚にも)なった名作。後日談も含めての大團圓は、理想とする一つのパターン。この作品を讀むと、つくづく小生のギャグ感覺てふのは、往年の少女漫畫で作られたのだなあと感じます。
『紅色魔術探偵團』 山田章博 この人は耽美イラスト(耽美好きの同級生の女の子が教へてくれた)で知ったのですが、漫畫ネタもオモロイです。何か、20巻本の全集が出るらしい。
『のだめカンタービレ』 二ノ宮知子 H社の編集さんに教へられる。現在のトコ、ストーリーの骨はオレ樣・千秋くんの Bildungsroman (ビルドゥングスロマン=教養小説)なのだけど、諸々のアホらしさが強力に肉付けとなってゐる。クラシック音樂がアイテムで、獨逸語の世界だと思ってたら、思ひがけず佛蘭西語の世界に。出てくる佛語は parfait だ。


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dernière mise à jour: 2005/10/07

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