『アフリカ・パラダイス』 Africa Paradis

By 黒猫亭主人, 2013/08/21

Africa Paradis紆余曲折のすゑ入手した『アフリカ・パラダイス』 Africa Paradis (2007, ベナン+仏合作) のDVDを漸く見る。2033年、荒廃した欧州(ドイツはトルコに占領、ロシアはギャングに支配され、英国はグァテマラの植民地になってゐる)にたいし、「アフリカ合衆国」は繁栄を謳歌してゐた。頽廃したフランスには仕事もモノもなく、大勢のひとが職を求めてアフリカへ移住しようとしてゐる、てふのが背景。

主人公の失業したIT技術者・オリヴィエと小学校の先生・ポリーヌの同棲カップルも在仏領事館に移民を申請しにくるが、知的労働に空きはないといはれ、申請をとりやめる。とはいへ仏内に職はなく、アフリカに密入国するも、ただちに逮捕。オリヴィエは収容所の電子ロックをハッキングして脱出するが、ポリーヌは同行を拒否し、ふたりの運命はおほきくわかれてゆく。そのアフリカでは、移民にも権利をあたへようとする親移民派政党の提出した法案が可決されさうであり、排外主義政党がいらだってゐた。このことが、事件の引き金をひくことになる…。

comédie dramatique と表示されてゐるが、ストーリーとしてはかなり悲劇的であらう。アフリカと欧州の状況が現在と真逆のシチュエーションこそが、喜劇にほかならない。

監督の Sylvestre AMOUSSOU シルヴェストル・アムスーは、1964年ベナン生まれ、在仏20年以上の俳優・監督。作中、親移民派政党のモディボ・クドスー議員てふ重要な役をみづから演じてゐる。そして、ポスター等でおほきく映ってゐるをっちゃんは、セドリク・クラピッシュの『猫が行方不明』 Chacun cherche son chat (1996) でデビューした Ériq EBOUANEY エリック・エブアネ。キャスト裡でいちばん有名な俳優だからといふて――演じてゐるムドゥアラ内務大臣てふのは、作中、五、六番手の役どころで、かつ排外派の敵役――、ほかの役者をまったく出さずこのあつかひてふのは、ニポンではありえしまへんな。

なぜか密林ではポスターしか売ってへんので、DVD買ふなら、公式サイトから⇒ http://africaparadis.com/

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