黒猫亭

黒猫亭主人謹製 贅言蒐・藏書録・教材藏

船場アートカフェ、フルスロットル

1月31

もう睦月も最後ではないか。

てふわけで、あす2/1から28日まで、2月まるまる連続興行、ことしもやります Monthly Art Cafe。

http://art-cafe.ur-plaza.osaka-cu.ac.jp/main_monthly.html

ちなみに、ことしの小生のネタは、

(1)「林明子の絵本と挿絵がすきだ」2/14(日)15:00-17:00
(2)「フレンチ・ポップスとフランス語圏社会 II」2/16(火)19:00-21:00

のふたつ。
(1)は小生所有の全作品をしめしながら、魅力を語るもの。サンリオがかつて出してゐたの漫画雑誌『リリカ』のネタとどっちにしようか迷ったあげく、こちらに。絵柄の変遷とか、小ネタとか。
(2)は、去年にひきつづき、ふだん授業でながしてるPVをネタに、仏語圏の話題を解説。ことしはアイティもとりあげる予定。

これ以外に、2/4(木)の花村さんのネタにゲスト出演するぞ。こちらはコントの相方。喋んないけど。

水城 せとな『失恋ショコラティエ』1, 2(小学館 フラワーコミックスα)、『黒薔薇アリス』1,2,3,(秋田書店 プリンセス・コミックス)

1月31

失恋ショコラティエ 1 (フラワーコミックスアルファ)黒薔薇アリス 3 (プリンセスコミックス) 月刊『コーラス』で、ひとりの女性の「脳内会議」――メンバーは5名の老若男女で、合議制で行動を規定してゐる。なぜか議長は男子だ――を描く「脳内ポイズンベリー」の連載を開始した水城せとなだが、こちらはいづれも一昨年から連載中の作品たち。
失恋ショコラティエ」は、高校入学時に魅了された先輩のサエコさん――そんな美人てふわけでもないらしい――と、漸くつきあったものゝ、じつは二股かけられてゐたことにショックを受け、発作的に渡仏、有名菓子店 L’Atelier de Bonheur [ラトリエ・ド・ボヌール]――「幸福工房」の意。作中では「ボネール」と書かれてゐる――に押しかけ弟子入りし、5年後には、有望な若手 chocolatier として、日本店をまかされ帰国した小動爽太(こゆるぎそうた)のハナシ。サエコさんへの執着甚だしい彼は、実家の菓子店を改装して、ショコラティエ「Choco la vie」を開店準備中、サエコさんの来店に感激するも、じつは彼女は、結婚式の披露宴に出す菓子類の依頼のためであった。
人妻となったサエコさんをあきらめきれず、不倫上等とまでいひはなつ爽太くんには、女子のみなさんはドン引きなのであらうか、それともアリなのかしらん? 薫子さんが気の毒としかいひやうがない。
フランス語原文による会話がたくさん出てくるのだが、ちゃんと監修をうけてるやうで、完璧。ただ、第2話の冒頭に出てくる “Ça faisait longtemps que ne s’était pas revu.”(久しぶりにお会いできてすごく嬉しかったです)てふ文だけは、que と ne のあひだに主語となるべき l’on がぬけてゐる。
黒薔薇アリス」は、長い時を生きる吸血鬼――だと『ポーの一族』だが――に非ず吸血「樹」たちのハナシ。1908年のウイーンで馬車に轢かれた青年ディミトリはヴァンパイアとなってしまふ。自暴自棄になった彼は、「繁殖すれば死ぬ」てふ知識を得て、幼いころから愛してゐた16歳のアニエスカを陵辱しようとするが、間一髪、彼女は自殺してしまひ、ディミトリの手だてにもかゝはらず、魂を缺いた生ける屍と化してしまふ。そして100年語の渋谷に屋敷をかまへてゐたディミトリ――日本人の養子となってゐて、苗字は「和泉小路」!――は、ある策を弄して、28歳の高校教師・梓の魂をアニエスカの躰に入れる。蘇った彼女はあらたな名を欲し、「アリス」と名づけられ、4人の吸血樹たちのあひだから「繁殖」相手を決められる女王となった。しかし、最有力候補だったレオが消え……。
第2巻の巻末で「お人形みたいなロリ少女をヒロインにした漫画」を描いてみたかったと記してゐる作者さうだが、「心は28歳だけどね!」「体は116歳だけどね!」てふセルフ・ツッコミがはひってゐる。残念!

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業田 良家『ロボット小雪――新・自虐の詩――』(竹書房)

1月31

新・自虐の詩 ロボット小雪『まんがくらぶ』2006年12月(2007年1月号)から連載された4コマ――ときに5コマもあるが――の単行本。連載時のタイトルは「新・自虐の詩」であり、これは、当時『自虐の詩』の映画化が決定したことと関係ありさうだが、この作品の内容は、幸の薄い幸江の生涯に、親友・熊本さんの人生がからむことで名作と化した『自虐の詩』とはまったく関係がない。おなじなのは、たゞの4コマ漫画が、途中からドラマチックな大河巨篇化する点だ。

近未来、ロボットが普及した世界。拓郎の家では、ネット新聞記者の父親も、民間企業のロボット・デザイナーの母親も、それぞれ愛人兼用のロボットを所有してゐる。拓郎自身も、母親が設計した小雪といふロボットを彼女として所有してゐるが、旧式であるために、高校の同級生・広瀬くんがレンタルしてゐる最新型ヒューマノイド亜紀ちゃんと比較して、大層がっかりしてゐる。だが、ドジな小雪は、さまざまな経験をとほして成長し、つひには「心」を持つにいたる。

一方、株価の大暴落で、広瀬くんの父親が経営してゐたIT広告会社は倒産し、亜紀ちゃんも解約され、一家は夜逃げ。その広瀬一家が流れていった先は、煤煙で汚れた空と犯罪のにほひ立ちこめる「向かう岸の街」であった。それを知った小雪は、単身、その街に乗り込んで……。
拓郎も広瀬くんちも裕福な家のボンボンてふ設定は、前半こそ反発をくらふかもしれないが、じつは「向かう岸の街」を描くための伏線であった。

憂国漫画『世直し源さん』と形而上漫画『ゴーダ哲学堂』の作者ならではの怪作であらう。ラストにあらはれる、拓郎の母親の「美しい心をもったロボットがゐれば人間はいらなくなる」てふ苦い独白と、「自我」に目覚め行動する亜紀ちゃんの姿が、作品にさらなる余韻をあたへてゐる。

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学籍削除

1月22

芝居関係者はよく死ぬ、などと書くと不謹慎だが、この20年間で同世代の友人、知人が10名ちかく亡くなってゐる。いづれも病死か事故死で、所謂「天寿を全うした」とはいひがたい。ひとは必ず死ぬものではあるが、やはり若くしてひとが亡くなるといふことには、胸のふたがるおもひがする。

けふは、月に一度の教授会の日だった。会場となってゐる大会議室におもむき、机上にならべられたぶあつい資料をながめる。ふと、差し替へ用に1枚ペラで刷られた資料が眼にはひる。「学籍削除」。学生が亡くなったのだ。さうして、そこに書かれた名前を、ぼくはよくしってゐる。

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Haïti のために

1月22

ま・ここっとさんとこでめっけた Un geste pour Haïti chérie (愛しいハイチのためになにかを)――ちなみに、 faire un geste は「手を差しのべる、助ける、なにかをする」の意――。歌手、役者、タレントなど著名人たちがラップにのせて、アイティへの愛と支援を歌ふ。アイティ系ケベコワの Anthony Kavanagh アントニー・カヴァナーに始まり、〆は大御所 Charles Aznavour シャルル・アズナブールだ。 Superbus シュペルビュスの Jennifer Ayache ジェニファー・アヤシュやらZazie ザジやら Lilian Thuram リリアン・テュラムやらも登場。フランス赤十字社と国境無き医師団のコラボらしい。

さらに、有名歌手が参加した Urgence Haïti (ハイチ緊急事態)てなアルバムも1/29に発売ださうで。 売り上げは Action contre la faim(反飢餓行動)をつうじてアイティ支援にまはされる(ハズ)。

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